ピアノ売ってチョーダーイ

市井の人々は、現実社会で生活しているわけだから
開運アドバイスをなす場合には、現在の社会状況に
ついての認識と基本的理解が求められる。実際社会
に関する諸研究は社会学として確立されているが、
個々人の幸福追求をサポートする立場で実存の個人
と社会の関係性を考える必要がある。昭和、平成、
令和の時代状況の変遷を見れば、開運指導の総論的
基調が異なる。夜のきらめきが昼よりまぶしくて、
熱いビートが日本中を揺らし、ディスコジュリアナ
の扇風が止むことのなかった絶頂バブル期にリスク
なる言葉を発する人は街にいなかった。だが、令和
の今、日常会話はリスクが中心である。岸田首相が
主張する新資本主義は、簡約すれば富の適正分配論
であり、格差是正である。これは、社会的貧困問題
の解決を重視する姿勢表明だ。しかし、新自由主義
という、いわば放任的な自由競争主義を継続しつつ
格差問題が解決できるのか。金融資産の取引に関し
課税強化を説示したが、現状では未だ実施されてい
ない。所得倍増論もいつか忘れ去られてしまった。
今、国民の多くは自己の将来設計に頭を抱えながら
対処方法を模索しもがいている。貯蓄2000万円
必要問題がある。金融庁の本審議会が夫婦共働きの
世帯が65歳から1ヵ月30万円の年金を受けても
毎月5万円から10万円不足するため、100歳迄
の人生をめざすなら、2000万円の貯蓄を保有す
べきである、が概括的趣旨である。本件は日本国の
現状を語る一大テーマである。国民の関心と憂慮は
富の適正配分と言う抽象的な公平公正論ではなく、
国家による確実なリスクヘッジの実施なのである。
2025年に4人に1人が後期高齢者となる超高齢
化社会に突入する中、国家に対する信頼が揺らぎ、
日本国は歴史的受難の時代を迎えるかも知れない。
今後、この国に生きる有り難さは世界一安全な社会
生活に尽きると予想される。ドイツ社会学者の権威
である、ウルリヒ・ベックは現代社会をリスク社会
と定義づけ、地球環境、省資源・エネルギー、金融
危機、地域紛争等々の問題は、地域的から世界的な
共通リスクであり、その解決には全地球的な視点で
解決されるべきである、と説いている。故に個別的
な視点で相談者の勇気を鼓舞するのではなく寛大に
時を待つ意義を諄々と訴え、冷静にリスク対処を図
るを良しとする姿勢が開運アドバイスの時代的潮流
となる。テレビCM、ピアノ売ってチョーダーイ。
資源リサイクルの観点から、有価物は社会に還元さ
れるのが望ましい。令和時代、開運行動の大原則は
断捨離が基本である。バブルの遺物は迷わずに処分
するべきか。ソノトーーリ。あの声が響いて来る。

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