私情と市場の一致

繰り返される日々の暮らしで、人は生きるがために
水を飲み、食事をし、誰かを、何かを愛し、その愛
を育み、慈しんで、地平のかなたにある未知の扉を
開けてこの世を去る。人生は、あの世への旅立ちま
での時間である。神に許容された各自の時間を消化
し、この世に生きた、いや生き抜いた証をどの様に
残し得るのか。それは生存意義の実証であり、生存
実感の追求だ。この根本は、極めて個人的で主観的
な私情であり、自己満足の世界観である。ここに、
人が働く意義がある。この世に存在する全ての人間
は、市場世界の住人である。需要と供給が出会う処
が市場である。この市場において、人は生誕と同時
に自己を商品化して、求められる需要に応え、人生
終焉まで働き時間を消費する。この時間の消費活動
において人は本能的に働き甲斐を求める。文字変換
の妙で、私情活動が市場活動となるのだ。大谷翔平
の大活躍は、本事実を明らかにする。私情と市場の
完全一致の好例である。つまり、現世の幸福論は、
働き甲斐と市場活動のマッチングを抜きにしては、
語れないのだ。人生100年時代とか、生涯現役の
言葉がメディアに踊るが、この言葉に何か違和感や
様々な不安を感じる人々は、自己の商品価値の喪失
を実感することが根本にある。この論に基づいて、
幸福な人生を、東大の隆法に替わって、慶応の晟芳
が科学してみよう。幸福の科学と言うなら、あの世
の仕組みや説明だけでは、不十分である。現世での
幸福を論じる場合、実は、マーケティングに関する
知識が不可欠だ。マーケティングの語義については
単純明快に[市場活動]の一言で良い。マーケット
にingだから。今、日本社会の市場を如何に分析
理解すぺきか。現状は、商品市場の細分化と複合化
が同時に生起していると見る。格闘技スポーツでは
柔道、空手、ボクシング、レスリングが基本的分類
であったが、キックボクシングを取り入れたK―1
が隆盛し、現状では[総合格闘技] と称される様に
何でもありとなり、最近では、街の殺し屋さんまで
多数参入してきて、[ケンカ上等]市場化の様相で
ある。車の市場では、乗用車、各種輸送車両、軽四
等々の細分化が進んできたが、今では多目的車両、
多機能化が進展してきた。高級車分野でもSUV車
が人気となり、電気自動車の開発と共に市場の複合
化が加速中である。高学歴芸人と呼称される人間の
クイズ番組での活躍は、マルチタレントなる言葉を
産み出している。これらの状況は、人間の幸福論も
同様で、直線的ではなく、時間は掛かっても多様な
経験を積み重ねる円錐的な昇天論が正解と考えられ
る。劇団四季の[ライオンキング]の曲で知られる
[サークル・オブ・ライフ]は多くを教える。歌え
るのか、と問われれば、泣くだけ、と応える。あの
高倉健さんと同様。霊言の隆法氏は器用だったが。

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