『慟哭』
『慟哭』
(作詞)藤原晟芳
あの日の舞台 歌い終わって
スマホ開くと 危篤の知らせ
衣装のままで 車乗り込み
急がせたのは 津軽海峡
フェリーのデッキ 駆け上がり
見つめる先に 北の大地よ
吹雪飲み込み 彼の名叫ぶ
愛の海底 のたうち回り
この世の別れ 決めたその夜に
目の前 迫る 一本の綱
引き上げられた 命の恩義
今は歌手の座 揺るぎない
握るスマホに ただいま死亡
雪と涙で 凍てつく画面
息を切らして 病室に着く
白い布切れ 滑らせはずし
人目気にせず 長い口づけ
無理に離され 通された部屋
私の歌が テレビに響く
震え止まらず その歌声を
遅れながらも 追いかけ泣いた