自由と孤独(2)
自由と孤独(2)
人は、成人して持続的労働を主体的になし、様々な
制約や危機からの自由を得る。働きの恩恵を受ける
わけである。しかし、問題が生じる。
一例として、定年後の自分を想像して欲しい。
毎日が日曜日になる。当初は自由を満喫できる自分
がある。老後に備える蓄えもとりあえず心配ない。
確かな家庭生活があり、不治の病に侵されているこ
ともない。世間的に見ても一応健全な暮らしぶりである。
だが、後20年以上、30年生きるかも知れない。
労働のおりから開放されたが、これからは自分自身
で何事も意思決定し、その全責任を負わなければ
ならない。あれこれ考えると心配事が次々に各人を
襲ってくる。孤独、形容しがたい絶望感が生じる。
幸せを求めて孤独や絶望感にさいなまれる。
人気絶頂の歌手や芸能人が、ある日突然に引退発表
するケースがある。なんか自分の中に熱いものがな
くなったので、自分を見つめ直したいんです。
鑑主は、これを「幸福病」と称している。
苦心惨憺する同業者から見れば、まことに羨ましい
病であるが、当のスターは自殺する場合もある。
鑑主は主張する。
働き続けるをもって信仰とせよ、そして、
燃え尽きても良き炭となる、信条で生き通せ。
人生は足らずを生きる、と考え常に何故、何が不足
しているのかを見極めながら生き通して、あの世を
めざすことが肝要である。
小人閑居して不善をなすのではなく、積善に努める
日々を重ね人生の最終章を迎えるべきである。
安易な出家逃避は許されない。