ミナミの帝王
ミナミの帝王
ワシ、ミナミで金貸しやっとる萬田銀次郎、こちら
沢木の親分。返せん時は、その体に少々痛い思いし
てもらわなあきまへんが、よろしおまんな。なら、
200や、やおら金庫を開けてテーブルに金を差し
出すのは、なんと新党代表の売れっ子山本太郎だ。
金が無いから借りにきた客は逃げるが勝ち。一目散
の夜逃げ支度。突然、銀次郎と山本がベンツSLで
登場。えらいええ度胸やな。そこで事の次第を知り
早速に貸金流れ先のヤクザ事務所に乗り込む。
金貸しがなんの用や、すごむヤクザに怯まずこの件
表沙汰にしてもよろしいんでっか。渋々200に足代
が上乗せされ、一つのキリトリ物語りは完結する。
本作、ミナミの帝王は、1992年から2007年まで、竹内力氏が主演を努めたスーパーヒット60作品である。そのヒットの理由は、金融業の厳しさを描写しながらも底流での金欠に苦しむ負け犬たる困窮者に見せる優しさや思いやりが、観客に切々と伝わり いつ自分も同じ環境におちいるかも知れないと、 ヒリヒリとその恐怖感が襲ってくる中、持前の鋭い法律知識が武器となり万事解決の結末に安堵できるところにある。法治主義の支配世界で演じられる過激性を帯びた人情ドラマと言えよう。
同作は主演初期の竹内氏が成熟化していくに同調し
て金融事件が社会問題化してきたために終了した。
萬田銀次郎は間違いなく平成のアウトローヒーロー
であった。