アメリカニズムとジャパニズム
現在、アメリカニズムはアメリカ的思考や生活様式
と言う単純なアメリカ人気質を超越し米国至上主義
を本義として、政治、経済、文化の優越性の主張を
核心とする段階にまで昇華されている。とりわけ、
アメリカンドリームの実現を夢見てこの国の地に生
きる全ての人々はひたすら金を求め続け努力する。
結果、資本市場は膨脹し、もはやカジノ資本主義と
称されるレベルとなり、貧富の差は拡大している。
とてつもなく大きな国、それが、アメリカ合衆国で
ある。では、富の偏在が極端にもかかわらず一国家
としての安定が保たれている理由はいかに。それは
慈善活動である。膨脹資本主義の狂気は慈善で清算
される。マネーの5文字を追い求め自らの夢を達成
した者は、鉄火場人生の熱をチャリティーで鎮める
のだ。つまり、自由、民主の次は平等実現に貢献す
る。そして、富者は名誉称賛の中この世に別れを告
げ、笑顔で旅立つ。プロテスタンティズムの象徴的
人生と言えよう。では、このアメリカニズムに比し
て、ジャパニズムはどう理解されるか。この問いか
けこそが、現代日本の本質的課題となる。つまり、
明治維新後、この国はいかなる国家であるかに関し
て、明確な答えを出せないのである。西欧列強諸国
からの抑圧を防ぐべく資本主義を導入したけれども
幕藩体制が官治主義に転じただけで、本来的な自由
競争は規制され、一定の制限領域内での競争が維持
される日本型資本主義、つまり儒教資本主義が経済
体制の本質となっている。よって、約25年を超え
る低成長経済下にあっても、勤労国民は不平不満の
捌け口もなく、ひたすら忍従の日々の中で暮らして
いる。この国では、自由、民主は一種の宗教的教示
であり、平等に関しては皆で辛抱する合言葉に過ぎ
ない。日本の建国は紀元前660年、約2700年
の歴史を誇るが、第二次大戦の敗戦から平和国家を
標榜し、儒教資本主義で国家体制は何とか維持され
ているが、日本国民一人々々に芯がない。いわば、
世界最古のミュージアム国家と自称すべき状態だ。
あえて言えば、ジャパニズムとは、道徳倫理尊重の
商業国家主義、平和尊重主義と説明するくらいか。
ちなみに、先の参議院議員選挙では消費税の廃止や
減税を野党が一様に主張していたが、その様な政策
で経済活動の活性は実現できない。日本の経済活動
の現況は真水とへドロの二極化が明確である。一般
庶民はヘドロの中で生活している。アベノミクスは
真水を増水させただけである。明確な失政である。
ヘドロに強いくさびを打ち込み、敢然と除去する事
が重要である。消費税はむしろ増税すべきである。
それを原資にして国民の生活保障として毎月定額を
国家から支給させる。岸田首相のよく分からない、
新資本主義等の宣言は全く意味がない。実際の方法
は、優秀な赤門が考えればよい。政治家は、自信を
もって主張するだけでいい。陸の王者に期待する。