スシローの悲劇

日本最大の回転寿司企業、スシローが、ある若者ら
による[外食テロ]を受けて、全店ガラガラ状態と
の報道がある。いつも通り、テレビ等で有識者らが
本件につき、自らの意見や対処措置を述べている。
それらは一般的かつ常識的な模範解答集であるから
一応の参考とされるのが良いだろう。しかし、正解
と得心できる解答はないようだ。スシローに限らず
企業は、いわゆる[生産性]の向上に腐心、尽力す
る。利益の最大化をめざし、経営資源の投入以上の
成果創出を実現すべく、製造、流通、販売の過程で
ムリ、ムダ、ムラの三無追放を合言葉に商人根性を
発揮し続けている。日本社会のあらゆる現場で優秀
な社員らが、安い給料でこき使われ、乾いたタオル
を絞り続け、その両手には血がにじむ。お父さん、
大丈夫なのと、家族らに心配されながら日々を過ご
し、口に出てくるのは思案橋ブルースだ。人手不足
の解消と運営コストを同時解決する妙案はいかに。
この課題は日本における全ての経営者に突きつけら
れる難題だ。外食の雄たるスシローは、この課題に
対し、回転寿司なるビジネスモデルを構築し、現在
では100円ずしで年商2000億円を超える売上
高を達成し、JR東海の約5分の1だ。スシローの
回転レーンは、のぞみ、ひかりに比して大活躍だ。
のぞみは、人を運ぶだけだが、スシローは、寿司を
運ぶだけではなく、人を楽しませるエンタメ空間も
提供する。基本はオープンセレクション。ボックス
席は独占空間であり、お客にとっては絶好の遊び場
となる。今回の事件は、マッチ1本、火事の元で、
遊び心が度を越して山火事騒動となってしまった。
さらにSNSの動画拡散は、お客の喜劇、スシロー
の悲劇だ。生産性向上を目的に、人的努力の限界を
回転レーンで克服し、更なる飛躍をめざすスシロー
にとって、そののぞみは消えかかっている。ここは
JRの、のぞみに常備されている緊急停止ボタンに
ならい、回転寿司の客席に、非常警報ボタンを常設
する必要がある。また、資格好きの国民を対象に諸
官庁が、回転寿司レーン管理責任者なる、奇妙珍妙
な資格を考案し、回転寿司の各店舗に各一人を配置
させ、お客のマナー向上をめざす。役所にとっては
天下り先の組織が増えるし、また、元暴力団員らを
優先的に採用し、半グレの悪ガキ集団の指導任務に
当たらせれば、社会復帰の促進策にもなる。以上は
冗談話であるが、一つの場所に大勢の人間が集まる
事は、様々なリスクが増大し、整序が求められる。
とまれ、今回の事件は、生産性向上をめざす省力化
や合理化の死角が明確となった。機械そのものには
[志]が存在しない。何事も機械まかせは、合理化
の堕落だ。ロシア・ウクライナ戦争に涙しながら、
スシロー事件に激怒する、日本国民は複雑怪奇だ。

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