ロシア-ウクライナ紛争私見(5)
衣食住足りて礼節を知る。改めて論ずるべきは、
礼節とは如何に、である。分解すれば礼儀と節度
になる。礼儀は、社会秩字を維持するために人が
守るべき行動、作法、敬意の表現。節度は、適当
な程度。この礼節が国家レベルでは[法の支配]
に昇華する。法と唱えると、法律と解釈される。
しかし、法の支配における法は、法律ではない。
一般的な理解では、権力者の専断的な支配
行為を排除する考えと理解されているが、今一つ
分かりにくい。むしろ社会的良識及び集団的行動
の規範と理解したほうが説得力を持つと考える。
自由民主体制の国家間では、行動の内在的制約と
して、この法の支配は、現状、共有されている。
憂慮されるのは、ロシア、中国、北朝鮮の現況で
ある。これら三国においては、法律はあっても、
法の支配が無い、もしくは無いに等しい状態だ。
法の支配は、実質的に正義を重んじる精神と理解
すれば、この理念は、[正義の呪縛]である。
この呪縛こそが、第二次大戦後、大国間での戦争
や紛争発生に対する強いくさびとして機能して、
一応の平和状態が維持され、領城侵犯行為が回避
されてきた。ロシアは、市場経済体制を導入する
過程で、積極的な外資導入を目指すために対外的
に、法の支配に関し曖味な対応に終始し、むしろ
諸外交の前提条件として確認される機会もなく、
泰然として沈黙を続けてきた。燃しなから、今般
のウクライナへの残虐な侵略行為により、ロシア
において法の支配が、一片のかけらも無き事実が
判明した。ロシア国家のGDPは、ここ数年間は
世界第11位、200兆円にも届かない。不振の
韓国にも及ばず、対日本国では僅か3割、対米国
では何と1割以下の規模でしかない。この経済力
で、世界第2位の軍事力を保持することが可能で
あるのか。ある報道では、一日約3兆円の戦費が
投入されているらしい。GDPに基づく計算では
2ヵ月で一年の総計額が全て吹き飛んでしまう。
プーチンが冷静を装っても、実際ロシアは張り子
の虎である。核爆弾の使用も辞さないと脅すが、
これから侵奪しようとする大地を核爆弾で汚染さ
せれば、長期間使用できず、実質的に無価値とな
る訳で、1000%あり得ないと予見できる。
プーチンは、元スパイと聞く。スパイ活動の原則
は、徹底した秘密活動が教義原則である。非公開
が保持されてこそ、獲得情報が生きる。しかし、
今般のウクライナ侵攻は、西側諸国に筒抜けであ
った模様である。現状、米国の諜報活動が功を奏
して、ウクライナが背中を見せる事はなかった。
ロシアの背後からの切り捨て御免は許されなかっ
た。今や、鉄のカーテンは金網化し、丸見えだ。