井の中の蛙こそ大海へ

つらつらと考えてみれば、事業家、世俗的商売人と
して成功する人間には共通する特質がある。まず、
強運である。次に、金に細かく、セコイ者、さらに
万事に調子がイイ存在。勿論、これら以外にも種々
特徴があるが、この三点は商売人に求められる必須
要件である。中でも強運、特に財運の強さは説明は
不要である。財運の弱い人間は、そもそも商売の扉
を開けられない。四柱推命では、財運を流れの財運
として偏財、とどめの財運として正財の二星を明示
する。流れとは、金回りの良さ、とどめは有形資産
で不動産を有すと理解すれば良い。この世の商売は
つまるところ財運競争と考えられる。特に偏財星を
持って生まれ、その人生において偏財が10年毎の
大運、もしくは1年毎の歳運に巡れば、その状況は
事の次第では左うちわ、右扇風機となる。世間では
運命の良し悪しを論じ、先天的な宿命は変える事は
不可能であるが、後天的な運命は努力次第で変えら
れる、と占術家群が滔々と力説する。この点鑑主は
宿命も運命も共に変える事はできないと明言する。
運命は変えるものではなく、開くものである。運命
は、人の動向を見抜く事に尽きるわけであり、川の
流れが山裾から山頂に逆流する事があり得ない如く
人心の望むように変える事は決してできない。占い
商売が不信がられる主原因は一般人の無知を良しと
して舌先三寸で根拠無きアドバイスを重ね、疑問視
する相談者に対し地獄に落ちるわよ、と恫喝する事
等にある。蘊蓄(うんちく)をもって語らずとも、
蛙の子は蛙、だが、開運を果たせば、井の中の蛙も
大海を知る事が可能となる。蛙は蛙の宿命であるが
ジャンピング能力を身に付けて、大海をめざすなら
人生航路は大きく開かれる。その意味では、商売人
は、常に挑戦的な[士魂商人]である事が大事だ。
次に、人を揶揄する常套句にホンマにセコイ奴やで
がある。億単位の商売をしながら、小店のポイント
カードを財布の中に几帳面に収めている大金持ちが
いる。現実に1円足らずで1億円の手形は不渡りに
なる。金勘定に細かい人間のみが、金が仇の現世を
渡り切れる。実際問題、宵越しの金は持たない、と
自慢げな人間に明日の夜は来ない。昔の流行り歌に
1週間に10日来い、との歌詞があった。それなら
10日分は蓄えておこう。さらに、調子のイイ事が
商売人に必要だ。人間万事塞翁が馬と言う。今日の
不運が明日の幸運に転じ、その逆もある。つまり、
自らの人生運気の波を常に先読みして、心を柔軟に
し日々の動きに一喜一憂しない方が良い。お調子者
と呼ばれたら日本では古来より、裏切る約束こそが
暗黙の約束と応える事だ。まさに裏切りの美学だ。

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