自由の女神、忠犬ハチ公
先進国家との表現がある。基本的な説明は、工業力
や科学技術力で他国より先行し、政治的、経済的な
安定度が高いとされる。国家間の相対的序列、偏差
値の格付けである。現状、先進国と呼ばれる国家で
特に国家規模が大きい、米国、ドイツ、イギリス、
フランス、日本、イタリア、カナダの7ヵ国はG7
国として、最も裕福な自由主義国家群と評価されて
いる。この事実は、日本国の大変栄誉ある現実だ。
第二次世界大戦での敗戦により焦土と化した日本は
約20年で奇跡的復興を成し遂げ、1964年には
OECD、経済協力開発機構に加盟し先進国の一員
となり、その後の約10年で西ドイツを抜き、世界
第二位の経済大国となった。率直に言って、日本は
米国に占領支配され、その保護下で今日までの成長
の軌跡を記せた。日本国家存亡の危機にあって米国
は、自由民主主義、そして高度資本主義のシステム
を教導し、敗戦により国粋主義の挫折から国家運営
の精神機軸を喪失した日本に、リベラリズムの価値
を明示し、日本の進むべき道筋を明確化した。敗戦
の苦悩と後悔を復興エネルギーに転換し、自国市場
を開放し、日本製品を礼賛した。義理と人情、根性
で生きる、実にちまちました日本人は、おおらかで
鷹揚な米国の支援により、自問自答する課題や難問
はあっても、流動化、混迷化する世界情勢にあって
一応の社会的安定性を維持できている。この現況を
踏まえ、リベラリズムについて考えてみたい。言葉
の意味は、自由主義である。個々人の自由を尊重し
国家の政治権力に対抗して、個人や企業の自由行動
を保障する政治的な考えであると理解できる。今日
では、経済格差や富の偏在が問題視され、国家政府
の市場経済への介人による所得の再分配や機会均等
の実現に向けた様々な措置が取られている。米国は
1776年、英国植民地からの独立宣言、その後、
1861年の南北戦争を経て、人民の、人民による
人民のための政治をリンカーン大統領が訴え、現在
のフロンティア大国として存在し続けている。米国
において、自由とは開拓、開放、独立の源泉である
とされる。一方、日本国の自由は、大戦の挫折から
の僥倖である。それは、儒教の五倫五常に基づく、
統治社会構造の許可領域である。つまり、日本全土
に張りめぐらされた法網の空間である。日本国では
自由の本質は、規律である。米国の開放とは異質な
我が国の自由社会は、大戦後の復興過程から変質し
ていない。昨年、1ドルが150円となった。単純
に言えば、米国人1人に日本人150人の国力差で
ある。米国の象徴的存在はニューヨークに威風堂々
と立つ自由の女神である。片や、日本は、渋谷駅前
の忠犬ハチ公だ。今後も米国のポチとして生き抜く
べきか。令和時代のファイナルアンサーは不変だ。